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「色見本帳のPANTONEフォーミュラガイド」です。
PANTONE(パントン)は、印刷やデザイン業界で広く使われる色の標準規格を提供するブランドです。その代表的な製品の一つがPANTONEの色見本帳「フォーミュラガイド」です。
ここでは、色見本帳として最も広く利用されているPANTONEのフォーミュラガイドについて、その構成や種類、COATED(コート)とUNCOATED(アンコート)の違い、色数、D50 5000°Kについて解説していきます。

PANTONEの色見本帳は用途別に特化して、その種類も幾つかあります。その中でも「フォーミュラガイド」が最も多く利用されています。
フォーミュラガイドはCMYKによる色ではなく特色の構成となっており、入手しやすく、デザイン業・印刷業だけでなく、ものづくりに関する工業界全般で幅広く利用されています。
他にも見本帳として利用されるのはRAL・マンセル・DICなども多数有名な見本帳があります。
但し、世界的なシェアからしても業界問わず、汎用的にもPANTONE(フォーミュラガイド)が最も利用されています。
そのため、PANTONEの見本帳はものづくり現場においては必須のアイテムになっています。
PANTONE色見本帳ラインナップ
PANTONEの色見本帳といっても、用途別に種類があり、個々の見本帳は特定の用途や仕上げに応じた色で整理されています。
目的に応じて必要なカラーマッチングを簡単に行えるように設計されています。
PANTONEの色数と分類
PANTONEの色見本帳は、以下のような分類が存在します。
- PANTONE Formula Guide(フォーミュラガイド):
・Coated(コート):光沢のある用紙に印刷された色
・Uncoated(アンコート):光沢のない用紙に印刷された色 - PANTONE Solid Chips(ソリッドチップス):カード形式の色見本
- PANTONE CMYK Guide(CMYKガイド):CMYK印刷用の色見本
- PANTONE Pastels & Neons Guide(パステル&ネオン):鮮やかな色やパステルトーンの色見本
- PANTONE Metallics Guide(メタリック):金属調の色見本
PANTONEの色数
PANTONEの色数は種類によって異なりますが、一般的なフォーミュラガイドでは、
・Coated(コート)とUncoated(アンコート)の合計で2,000色以上
・CMYKガイドでは約1,800色
・パステルやネオン、メタリックなどを加えるとさらに数百色が追加
このように、PANTONEは印刷の仕上がりに応じた色を豊富に用意しています。
ここでは、PANTONEの色見本帳の中でも最も広く利用されている「フォーミュラガイド」を紹介していきます。
フォーミュラガイドの収納ケースから取り出すと2種類の色見本帳
PANTONEの色見本帳は、通常専用のケースに入っています。箱から取り出すと、2種類の見本帳があり、それぞれ扇子のように扇形に広がる束上となっており、各ページには異なる色が印刷されています。

フォーミュラガイドはグラデーション順に色が並んでおり、各色には個別にPANTONE番号が付与されています。
フォーミュラガイドのCoatedとUncoatedの違い
フォーミュラガイドのパッケージとしては2種類の色見本帳が収納されています。
この2種類の違いはベースとなる用紙が違っており、艶ありのCoated(コート)とUncoated(アンコート)に分かれています。
Coated(コート)艶あり

→ 光沢のある用紙に印刷された色見本
→ インクが表面にとどまり、発色が鮮やか
→ 一般的にパンフレットやポスター、カタログなどの印刷物に使用される
Uncoated(アンコート)艶無し

→ 光沢のない用紙に印刷された色見本
→ インクが用紙に染み込み、若干くすんだ仕上がり
→ 書籍や名刺、封筒など、マットな質感を求める印刷物に適している
デザイン時にPANTONE番号を指定する際は、印刷媒体に応じてCoated(C)かUncoated(U)を選択することが重要です。
2種類(艶ありと艶無し)の違い

フォーミュラガイドには2種類の色見本帳があり、艶ありと無しの2種類です。各色にはPANTONE番号が割り振られており、艶ありの場合は末尾に「C」で艶無しの場合は「U」が付与されて識別されます。
但し、工業製品で色の指示に利用する場合は多くの場合でCoated(艶あり)を利用してPANTONE番号を指示します。
Uncoatedは艶無しのため、光が反射されません。そのため、あまり色番号の指示において利用されることがまずありません。もちろん業界によっては異なるものですが、印象も異なりますのでほとんどの場合でCoated(C)が利用されます。
最終ページの「D50 5000°K」とは?
PANTONEの色見本帳の最後のページ(正確には目次の前)には、茶色の色見本があります。これは光源をチェックするための見本となっており、この茶色の見え方によって正しい光源が利用されているか判別する目安のものになっています。
照明(光源)が基準のD50からずれると、青みや黄みがかかり、正しい色判断ができなくなるというものではあります。

また、上半分と下半分はCoatedとUncoatedに分かれています。
色は、光源によって見え方が変わります。例えば太陽光の下、部屋の蛍光灯の下など、それぞれ光源が異なり、PANTONE番号を指定しても必ずしも相手側の光源が同じとは限りません。
この光源を一致させるために、PANTONEの見本帳では「5000°K(D50)の光源下を基準とします」となっています。
- 照明の種類によって色の見え方が変わるため、色評価は統一された環境で行うことが必須。
- 一般の室内光(蛍光灯やLED)では色の見え方が異なり、PANTONEの意図した色とズレが生じることがある。
- 印刷所でもD50 5000°Kの環境で色確認を行うことが一般的。
そのため、正確なカラーマッチングを行う際は、D50 5000°Kの照明を使用することが推奨されます。
5000°K(D50)とは?
- 「5000°K」(5,000ケルビン)は、光の色味を数値で表す単位で、数値が低いほど赤みがかり、数値が高いほど青白くなります。5,000Kですと昼白色に近い光源の色味です。
- D50は、国際的に標準化されたデザイン・印刷向けの標準光源の一つです。
- 印刷物の色を正しく評価するために用いられます。
どうやってD50を用意すればいいか?

5,000°Kの光源は照明を用意すれば再現が可能です。簡単な方法としては電球で5,000Kのものを使用します。その電球の光源下でPANTONE色見本帳を見て判断していきます。
簡易的に5,000Kの電球など使用しても、厳密には分光放射計などの測定機で測ってみないと、誤差も生じますし、本当に5,000°Kかどうかは分かりません。
そのため、相手側と同じ電球を使用してあげれば色味の感覚の違いやブレが生じるのは最小限に抑えられます。
5,000°K(D50)は、日中の自然光に近いとされています。そのため、窓際などで午前中の太陽光の下で見れば、それが(D50に)かなり近い状態です。
PANTONE色見本帳のまとめ
PANTONEの色見本帳は、ものづくりにおいても誰もが正確に色管理を行うために不可欠なツールです。
色見本帳の基本的な構成や色数、CoatedとUncoatedの違い、そして色評価のためのD50 5000°K光源の重要性について解説しました。
特に色は光を反射して特定の色として目で認識されます。そのため、正しい共通の光源下で判別しないと見る人や場所によって、ブレが生じ正しい色が共用されません。
PANTONEの色見本帳には用途別に種類もありますが、ものづくり現場で利用されるのはフォーミュラガイドのCoatedになります。
色見本帳は正しい使い方で利用しないと、微妙な色の違いまでは反映されなくなりますので、注意が必要です。
光源(D50)を用意する場合、簡易的なら5,000Kの電球を用意するか、もっと簡易的には自然光下で見て判断してください。
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