この記事のタイトルは:
「平ワッシャーには向きがあります。正しい方向で座金を使用しましょう」です。
ボルトの間に挟んで使用する平ワッシャー(座金)には、正しい向き(使用方向)があります。
ここで言う「平ワッシャー」はプレスで製造されたものになります。ほとんどの平ワッシャーがプレスで型抜きされていますので、そのプレスで型抜きされた平ワッシャーに限っての正しい向きになります。(切削されたアルミワッシャーなどには向きはありません)
平ワッシャを使用する目的
ボルトの座面だけでは当たり面が小さいため、1面積当たりの締め付ける力が強くなってしまいます。
同じ力で結合する場合、面積を広めることができれば圧力が分散されて当たり面の損傷を防ぐことができます。恒久的な場合は不要とも言えますが、分解を想定している場合や、相手側が柔らかい素材などには平ワッシャーを入れると耐久性が向上します。

なぜ、平ワッシャーに正しい向きが存在するのか?
プレスで製造される平ワッシャーは、プレスで材料の板材を押し込む際に、上から大きな圧力で押し込みます、その際に取り出されたワッシャーの上面側は必ず上面の角部がたれて(丸くなって)しまいます。一方、下面側の角はピン角になります。これがプレス品の製造上の特徴になります。
平ワッシャーには表と裏があるため
プレス品で製造される平ワッシャーには表と裏ができてしまいます。その違いは先述の角部の違いからくるもので目視でも分かります。
ワッシャーの外径と内径の角を見ると表面側は緩やかに優しいRになっていますが、裏面の角はピンと立っているような角を持っています。指で角をなぞっても表面と裏面の違いは分かります。

次に「表面を上にした場合」と「裏面を上にした場合」での並べてみると、相手の座面となる底の影が「裏面を上にした場合」の方が大きく見えることができます。これは接触できる面が小さくなっていることを意味します。これでは平ワッシャーを使う目的からは良い方向ということにはなりません。

ワッシャーの側面の中心に全周に渡って線が見えます。これがプレス品で作られている証でもあります。必ずプレス品の場合は表と裏が出来てしまい、製品によって意図する方向で組み付けて利用します。これは平ワッシャーでも同じことになります。
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平ワッシャーの目的が向きをつくる
平ワッシャーの目的は座面の確保です。相手との接触面を大きく確保するためには、角が立っている(面積が大きい)面となる平ワッシャーの裏面を相手に接触させることが正しい方向になります。それはボルト側に平ワッシャの表面が婿方向になります。
平ワッシャの正しい向き
一言で平ワッシャの正しい向きを言えば、
ワッシャーの表面をボルト側に向ける
になります。

平ワッシャの表面側をボルト側に向ければ、上面より大きな平面を持つ裏面が結合する面に接触することになり、これが平ワッシャの正しい向き(方向)になります。
ワッシャーの向きを気にするのはM6くらいからでもOKです。
ここでは平ワッシャーには正しい向きがあると説明してきたわけですが、平ワッシャーがプレスで生産されるうえでは角部のたれが生じるのは板厚が厚いほど顕著になってきます。板厚が薄い場合はそれほど角は垂れません。
すなわち、M3など小さいねじ用の平ワッシャ(平座金)はJIS規格品でも厚みはたったの0.5㎜です。生産方法は変わらないプレス品とはいえ、厚みが薄ければワッシャーの向きは気にするほどではありません。
M5(直径5㎜のネジ)以下に使用する平ワッシャーの表裏は気にしなくても良い
エンジンやサスペンションなどの重要部品の中に組み込まれるもの、可動部や分解が困難な箇所へ平ワッシャを使用する場合は向きを気にしてください。特にM6以上では、平ワッシャの向きを守ることをお勧めします。
クリップ類は目的に応じた方向が正になる
主に軸受けの止めに使用されるクリップ類もワッシャーと同じプレスで作られています。そのため、同じように向きがあります。

クリップ類(C型クリップやスナップリングなど)もプレス品で出来ていますが、平ワッシャとは目的が異なりることが多く、「抜け止め目的」の場合はクリップの裏面が抜けない方向へ向かせるのが正方向になります。
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