ソリッドとサーフェスの違い
カテゴリー: 生産技術・加工方法 SMART KEY

HONDA車用のスマートキーケースを開発開始

今年(2026年)に入って検討していた現行ホンダ車で利用されているスマートキー用のアルミフルビレットケースの開発を開始しました。

今年は石油問題から物価高対策などで新規商品を作るのはかなり難しい状況です。
各材料の高騰からコスト増の生産管理、また社内の体制変更なども加わり、商品造り以外の作業がほとんどとなっており、なかなか時間をしっかり確保して新商品開発ができる状況になりません。

まだまだこのような状況は続きそうなことや、以前より手掛けていた新商品のリリース作業も滞っている状況ではあり、思うようには進みませんが、少しの時間でも見つけて無駄なく一歩ずつ進めて参ります。

対象のスマートキー形状
現行N-BOX(JF5)などに利用されているスマートキー

以前の記事でもお伝えしておりましたが、主にホンダの軽自動車(Nシリーズ)で利用されているスマートキーに対して、JG1やJF3の小型で縦長の形状用は開発中止としましたが、現行N-BOXのJF5から順次変更されている小判型のスマートキー用のアルミビレットケースを商品化に向けて開発を開始しました。

まずは本体の3D化から(スキャン→ポリゴン→面構成)

スマートキーケースの開発を開始するにあたっては、(スマホ用アルミバンパー同様に)最初にキー本体の形状を3D化して商品設計を開始していきます。

スマートキーの場合は、基本的に平面が3次元曲面で構成されていますので、本体の3Dスキャンが最初に必須の作業になってきます。

なんとなく3Dスキャンと言えばイメージが着くとは思いますが、光を当てて位置関係を記憶していきます。出力されるのは、その位置を繋げた三角形で構成される、いわゆるポリゴンメッシュ(三角形の集合体)です。

その後に専用ソフトで曲面化していきます。これをリバースエンジニアリング(NURBS変換)とも言いますが、スキャン時の解像度も重要ですが、面構成化する精度も仕上がりにとても重要になります。
3D化の手順=スキャン→メッシュ→NURBS変換

3Dスキャン後のポリゴンメッシュ状態

まずはスキャンで読み込んだポリゴン状態(イメージ)がこちらのような状態です。

3Dデータのスキャン後のポリゴン状態(イメージ)

ポリゴン状態から面構成へ(NURBS変換)

ポリゴン状態から部分部分を曲面でつなげるようにして、最終的に曲面で構成された本体3D形状(3Dデータ)になります。完成した状態がこちらになってきます。

3Dスキャン後の面構成化

この本体の3Dデータを元にして、キーケースの場合は商品設計を進めていく手順となります。
また、このような3D形状(データ)は見た目は同じですが、サーフェス(面構成のみ)とソリッド(無垢)の2つがあります。これは次の項で説明していきます。

3Dデータのソリッドとサーフェスの違い

3D設計者などでクライアントから提供される3Dデータは主にステップ(.stp)が主流になろうかと思います。stpだけに限りませんが、3Dデータになると、ソリッドかサーフェスに分かれます。

提供された3Dデータがソリッドなのかサーフェス、または混合なのかはファイルを実際に開いてみるまで分かりません。この違いは提供先の使用しているCADや出力時のオプションによっても変わってきます。

どちらも3Dデータとしては同じですが、目的によって使い分けることになります。
ちなみに今回作業する場合ではソリッドの方が使いやすいので、ソリッド化までされた状態です。

3Dデータのソリッドとサーフェスの違い

簡単に言えば、ソリッドとサーフェスの違いは、
・ソリッド=中身が詰まっている
・サーフェス=面だけで構成
となります。サーフェス3D上ではその面には物理的な厚みを持ちません。

先ほどの画像で見た目の違いは分かるかと思いますし、画像内にも違いは記載しておきましたが、こちらに表でもまとめておきます。

ソリッドサーフェス
内部ありなし
自由曲面苦手得意
製造用途△(変換要)
主な用途機械設計デザイン・外装

ここから設計を開始していきます。

3Dデータのソリッドとサーフェスの違いを解説したような全般の記事になってしまいましたが、話を戻しますと、「HONDA車のNシリーズ用のスマートキーケースを開発着手(設計する)準備が整った」ということです。

また、スマートキーケースはしっかりと施錠開錠できなければならないので、その点は試作品を製作して実車での確認が必須となります。確認用の実車としてはJF5のN-BOXを準備しています。

開発用のN-BOXカスタム(JF5)

ある程度検証はできていますので、商品化まで進められるとは思いますが、設計段階や検証テストで解決できないような問題が見つかれば中止になる可能性は少しながらでもあります。

今後、設計を進め試作確認へと進めて参りますが、進捗状況によって時々お知らせしていく予定です。